その子が起っていたところには、皮膚の皮がボロボロ剥がれて
粉の山になっていた

皮膚は爛れて赤黒く腫れていた
掻いたところは血が混ざった体液が出ていた

「痒いよー痒いよー」

「痛いよー痛いよー」

「お母さん 帰りたい うちに帰りたい」

泣き叫ぶ子供を、母は泣きながら突き飛ばした

うずくまって肩を震わせながら泣き続ける子供をつかまえて
一番前まで引きずって行った

頭を抱えて泣き叫ぶ

自分も泣きたくなった 何でこの子だけ 心で泣いた
心で泣きながら怒鳴りとばした

「いつまで泣いているんだーーーいいかげんにしろーーー」

「ごめんなさい ごめんなさい おかあさん おかあさん」

今ここでこの子を変えなければ、一生泣かなければならない

命がけで変えてやる

来る日も来る日も泣きながら彼は頑張った
痛みとかゆみに耐えながら
教育セミナーで一番大きな声で気合いを入れている彼に
大人達は目を見張った

この子が笑ってくれるため自分は何をしなければならないのか

三年の月日がたち、彼の腰に黒い帯が巻かれた

戯けることがあっても、もう、泣くことはない
いつも一番笑って、みんなの人気者だ

何も残らなかったけれど、元気になった彼がいる

明るく笑ってくれる彼がいる

松栄塾はチャンピオンを作る為でも・・・
金儲けをするためでも・・・
名誉や地位を得るためでも・・・なく

一人の為にすべてを懸ける
一人の人を変えるため全力を尽くす

それが松栄塾の魂だ