松栄塾始まって以来、最高人数の昇級昇段審査を開催できました
特に嬉しかったことは、これから大いに成長が期待できる白帯が
多数、受験してくれたことです。よくに一年先を思えば稲を植えよ五年先を思えば
種をまけ、10年先を思わば人を育てろと言われます。
まさに松栄塾10年先までの人材が今回、受験した白帯の皆さんであると思います。
その中には2人兄弟3人兄弟の方も多数おりました、経費的にも大変な失費であるのにも
関わらずご協力頂いた事を感謝しながら、必ず「子供の成長」という形で恩返しをして参ります。

今回からは帯を各自揃えて頂く事になりました。
それは今回、特別審査員を努めて頂いた拳成館 黒澤館長の昇級審査に参加して
思うことが多々あったからであります。
拳成館ではTシャツの稽古禁止、帯の譲渡禁止、審査はできなければ落とすと
3年間厳しい稽古を積み
茶帯であっても段違いの型を披露してくれました。
松栄塾では今まで、利便性を優先に昇級した際、余った帯を後輩の人に譲って参りました
大変な不景気の中、少しでも負担を軽くして頂きたいとの思いと少しでも無駄やエコを考え
有効利用をしたつもりでしたが、その結果、同じ色の帯なら長すぎても短くても構わない
どうせ、すぐに変わるのだから、持っている人に借りればいいと言うような考えが蔓延し
長ければ切って使い短ければ一重にして巻くなど本来の姿から懸け離れた
化義(武術の姿形)になってしまいました。
その結果、進級したばかりなのに、かすれた色落ちの激しいボロボロの帯をしていたり
異様に長くだらしない帯をしている人や短い帯を巻けずに冬でもTシャツで
稽古をし、ろくに帯も締められないなど武道家とは懸け離れた人を作ってしまったのも事実です。
本来、命がけで取るはずの「帯」が単なる飾りになりさがり
試験を受ければ誰でも帯が上がるという審査の体も為さない試験ならば
行う意味すらもなくなってしまうと考えたからであります。

先日、家の事情で小学校三年生で空手を辞めたK君に銭湯で偶然会いました。
泣き虫で稽古のたびに泣いていた彼は自分よりも背の高い高校生になっていました。
彼が言うには「5年生の時に父が亡くなり中2の時に母が亡くなりました、おばあちゃんと
二人で暮らしながら今まで辛いこと苦しいことがある度に空手で取った青帯を見ながら
乗り越えてきました、小さくなってもう巻くことのできない青帯と道着は僕の宝物です」と
話してくれました。一人一人の胸の中に歴史を作って残すことが武道の役目ならば
半年に一度の審査の時ぐらい、自分の帯を獲得して誇りを持って巻くことの方が
遙かに意義のある事だと思います。

明年、創立10周年を目指して良き伝統は受け継ぎ悪しきシステムは改良をして参りたいと思いますので、ご理解ご協力をお願い申し上げます。

注目の10年組手は松栄塾茶帯の中でも最も身体の小さな二人が命がけの連続組手に
挑戦しました。田島凛斗君は戦績こそ奮わず一分九敗でしたが、最後まで倒れることなく
自分と戦い、最後まで立ち続けました 今までの審査ならば当然、昇段の対象でしたが
今回からは厳しい規定のため残念ながら昇段は逃しました。
しかし、今日、本人から12月の敦史塾長100人組手の時に挑戦させてほしいと宣言しました
今までの凜斗とは何かが違ってきていると感じることができました。
同じく昇段に挑戦した新田秀祐も小さな身体でへとへとになってからの技の切れが素晴らしく
あきらめない心、折れない心を千脇先生から絶賛されました。

今回の審査で素晴らしかったのは、何と言っても一般部の成長でした。
女と子供が強い空手道場から、ようやく一般部で大会に出て行ける選手達が
敦史塾長を中心として育って参りました。
3級に三階級、飛び級した大澤雄一さんは何度、大会で敗れても決して腐ることなく
忙しい仕事の切れ間を縫うようにして稽古に参加されています。
昨年の士道館の全日本大会では1回戦でヨーロッパチャンピオンと当たり上段膝蹴りで
前歯を折るという大怪我をしました、普通ならば落ち込んで辞めてしまってもおかしくない
試練でしたが、見事にそれをバネにして成長しマス大山カップでは昨年の借りを返す
初戦勝利と審査においてはプロである敦史塾長と互角の戦いを見せてくれました。
また関東大会では手も足も出ずに借敗した門垣祐平くんはナックルカップで堂々の準優勝を
勝ち取り審査会でも水泳で鍛えた身体能力の高さを示してくれました。
ビジネスマンクラス代表の佐藤さんは夏合宿では突然の隊長を務めこれまた突然の地獄の組手を
乗り越えて次の試合目指して意気揚々と稽古に励まれております。
また日曜日には青地さん弓削田さんらが自主的に道場に集い自主トレを重ねております。
この中より今後の松栄塾を担って立つ新たな戦士が育ちゆくことを願ってやみません。

次はいよいよ今年秋、最大のイベント全日本選手権大会の開催です。
今回、昇級昇段をした新勢力で秋の大会も常勝軍団の歴史を作って参りましょう。