昨日に引き続き西島洋介さんと久しぶりに平直行さんにお会いした
平先生はかつてシュートボクシングの世界チャンピオンになったりUFCのオクタゴンに出場した
「技のおもちゃ箱」と言われた天才格闘家である。
西島さんから寝技を練習できる適当な所はないでしょうかと聞かれ、指導のうまさ丁寧さ
を考えて平先生をご紹介しようと思った。
かつて自分も寝技に目覚め様々な道場に出稽古に言ったが一番、懇切丁寧に技を教えていられたのが
当時、正道会館で柔術を教えていた平先生であった。
久しぶりに電話をすると「うちは余りプロを目指している人がいないので適当かどうかは分かりませんが
いま、武術的見解から身体の不調なんかも観ていますから一度連れてきてください」とのこと
西島さんに伝え、今日見学に行く運びとなった、相変わらず人なっこい少年のような笑顔で迎えてくれた
(かつてグラップラー刃牙のモデルになった事もある)平先生はここ数年で気づいた武術の話しをしてくれた。
「壊すのも柔術なら直すのも柔術の一部なんです」と西島さんの何回も手術をした肘を観てくださった。
日本の武術には「骨」「筋肉」「腱」という身体の部分の他に「觔」という概念が存在しそれが捻れていたり
切れていると痛みが生じるという観点から「觔」を伸ばす術が施された。
「武術とは本来、だましあいです、インチキをしても勝ち残り生き残れば目的は達せられる、そういう技術の中で
お互いに手当をする技術が発展した」と言われ「西洋医学に見られる対処療法(切れれば縫うというもの)が広まるにつれ
日本の武術に伝わる民間療法が消えてしまった」「身体が楽になれば心も楽になります」
平先生自身、選手の引退直前には、腰、膝、首に致命的な怪我を負っており練習の前に膝の水を抜かなければ
動くことすらできない状態だったらしい、それを柳生心眼流の先生に出会い、柔術と剣術はセットになっており
かつての武士は怪我をしたとき自ら治療を施していた事を知る。
その現実的な治療法がすじを伸ばすと言うことであった。
欲にすじというのは多くの日本語になっている「すじちがい」「すじがいい」「すじが通らない」等々
本来、身体の持つ自然治癒力が最高に発揮されるのがすじを伸ばした時であると言われ、自身の腕を触らせ
肘から指先までの変化を体感させてくれた。
昨年、骨折をした腕を見てもらうと「重松さんの方が悪いかも知れない」と笑いながら
腕の様々なすじを伸ばしてくださった、確かに今まで我慢していた鈍痛のような痛みが消え、腕が軽くなったような感じを受け
「健康で元気でいてこその武術」という事を聞き、とても素晴らしい事だなと心から感服しました
柔術の稽古では様々な古来からの運動「立禅」や「這い」などを取り入れて「如何に効率よく身体が動けるようになるか」
というテーマの元、柔術の稽古が進められました。その間にも「身体の力を抜いて」「楽に楽に」「気持ちよく動こうよ」
など健康になって元気になれる平柔術の神髄を見せていただきました。
改めて武術の持つ可能性を感じることができ昨日のセミナー同様、とても充実した時間を持つことが出来ました。56

http://www.youtube.com/watch?v=bK907i4YOZI