東日本大地震から半月余りが経過しました。
原発などまだまだ、心配な事は山積みですが、少しづつ再建の
足音も聞こえて来ています。
先日、稽古の時、少年部のお母様が「毎日、テレビを見ていると
これが本当に日本で起きていることなのかと思い涙が止まらない」
とおっしゃっていました。
ある少年部一年生のW君に「地震の時、どこにいたの」と聞くと
「学校」と答えて、その時の事を思い出してしまったのか、眼に涙が
いっぱいに溜まり、これ以上は聞けないと感じました。
直接的な被災地でなくても、ここまで少年の心を傷つけているという
事実を思い、被災して家族を失ってしまった人達はどれほど辛い思いをされていることだろうと心が痛みます。
このような非常時にも人は希望という名の勇気を奮い起こして
再建に立ち向かわなければなりません、絶望の中から希望を生み出す
要素はやはり心の強さと心の支えになる一書にかかっていると思います。

2001年に「還暦ルーキー」の題名で出版された平山讓著作の作品は
阪神淡路大震災を背景とした物語です。

神戸市長田区鷹取商店街で写真屋を営む古市忠夫は大のゴルフ好きでした、妻や娘達は商売にも励まずゴルフ三昧の父を陰で批判、そんな一家を大地震が襲いました。
商店街は焼け野原と化し店も家も失いました。
ところが唯一焼け残った車のトランクにゴルフバックだけ残っていたのです。
それから4年後、商店街の復興に駆けずり回り、店は諦め保険金で家だけ建てた父に妻達は問い詰めます。
「もう、お金あれへんで・・・」
「これから、どないして食べていくんや」
迫る妻と娘に還暦を迎えようとする父は宣言します。
「俺なぁ、プロゴルファーになんねん・・・」
気でも狂ったかと唖然とする妻と娘
ゴルフバックを指さし父は続けます
「駐車場に残っていた車のトランク開けたらな、こいつがあんねん、
きっと神様がこいつで生活せえと、俺に残してくれたんや」

後に赤井英和主演で映画化もされたこの作品は、60歳目前でプロテストに合格した古市忠夫プロの数年間を描く実録ノンフェクションであります、プロテストでの一球一球を追う終盤、古市プロの心の強さは
あの大震災を乗り越えた人としての強さでありました。
古市忠夫プロにおけるゴルフバックは、生き残るための心の支えで
あったのでしょう。

一書で知る「心の支え」そうした事を一人でも多くの少年少女達に
伝えていきたいと毎日、対話を重ね下手な小説を書き続けています。