お兄ちゃんと入門した年中のs君
一日目はお母さんに甘えて空手着も着られなかった
「甘えてしまうから」とお母さんに帰ってもらう
泣き出すS君 帰る いやだ を繰り返し稽古は全然出来なかった

二日目 始めから道着を着せられてふてくされていたが、何とか稽古をまねる
号令を掛ける番になっても黙っているだけ 魔法の呪文を掛ける
「頑張ればお兄ちゃんと一緒にオレンジの帯が締められるよ」

三日目 今日の稽古で初めて「気合い入れて」と号令が掛けられた
お兄ちゃんと家で練習してきたらしい
自然と拍手が巻き起こる 4歳の子供の顔が変わる瞬間 小さな武道家の誕生
 
確かにその時、男の顔になっている

この仕事が生き甲斐であると感じる瞬間
もし金儲けだけだったら、こんな喜びは感じられない

 「一番好きな事を仕事にすると辛くなるよ」

10年前、先輩に言われた

一番好きな事を仕事にして良かったと思っている