とても、感動し素晴らしいと思いましたのでシェアさせていただきます。

日本時間10月29日、
 イギリスで開催中の世界選手権で
 体操日本代表男子が37年ぶりに
 団体優勝を果たしました。

 その日本代表メンバーとして活躍した
 田中佑典さんを教え導いたのが
 和歌山県で体操の指導に当たられる
 父・章二さんでした。

 そんな章二さんが語った
「子供の能力を引き出す姿勢」とは?
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 和歌山県で体操の指導を始めて
 約40年になる。

 私は和歌山北高校で
 体操部の顧問をする一方、
 ジュニアの育成を目的として
 同僚の伊熊博文先生が立ち上げた
 和歌山オレンジ体操クラブでも
 活動を続けてきた。

「教え子たちに願ってきたのは、
 体操を好きになってほしい、
 そして息の長い選手に
 育ってほしいということだった。」

 また人の話をよく聞いたり、
 場の空気を読めたりする
 精神年齢の高い子は
 上達も早いため、
 そうした機会や課題を
 なるべく多く与えたいと
 考えてきた。


 これは長男の和仁が
 3歳の時のこと。

 スーパーへ行くと、
 キッズコーナーに
 お金を入れれば動く
 電動式の乗り物があった。

 和仁は跨って遊んでいたが、
 私は最初から
 お金を入れてやることはせず、
 その日はそのまま帰ることにした。

 次に行った時、和仁の目線の先に、
 動いている乗り物で遊ぶ
 子供の姿があった。

 和仁はその子が乗り物から降りると
 すぐそちらへ駆けていったが、
 止まってしまった乗り物は
 もう動いてはくれない。

 3回目、和仁は
 自分は乗り物に乗ろうとはせず、
 やってきた親子連れの姿を
 見ていた。

 そしてその親がお金を入れて
 乗り物が動くところを
 目にしたのだろう。

 私のほうへ駆け寄ってきて、

「お父さん!
 あそこにお金を入れたら動くんや」

 と実に嬉しそうに話をした。

 その時、私は単にそうかと
 お金を渡すのではなく、

「おまえ、よう見抜いたなぁ!
 自分で分からんことがあった時には、
 まず周りをよく見ることが
 大事なんや。
 おまえは凄い。
 きょうは好きなだけ乗せてやる」

 とわざと誉めちぎった。

 和仁は7回連続で心ゆくまで
 乗り物に乗った。

 これと同じことが
 スポーツ指導にも言えるだろう。

 大人に求められるのは
 子供が自ら考え、答えを出すのを
 じっと待ってやることで、
 端から正解を教えてしまっては
 本人の身にならない。

 身体能力がいかに恵まれていても、
 それだけで強くなっていけるのは
 小学校6年生程度までが
 せいぜいで、
 頭を使えない子は
 必ず行き詰まってしまう。

 子供が持つ可能性は無限だが、
 その能力を伸ばしてやるための
 環境づくりをし、
 いかに本気に、
 真剣に取り組ませることが
 できるかは、
 我われ大人の役割であり、
 責任であると言えるだろう。