劇場で観ようと思って観られなかった作品
事実に基づいて作られた像使いの青年 坂口鉄治は、
中学でいじめられていた、千葉の片田舎 市原の中学
まだ50年代だから村八分なんていう言葉が残っている頃であろう
いじめの原因は、親の再婚と自宅が動物役者を扱う飼育所であるため
いつも、動物飼育の手伝いをしなければならず、動物臭が漂うこと
彼は現実、逃避か 象にあこがれ、いつしか象使いになりたいと考える
中学を辞めてタイに行き象使いの修行をすると言ったとき母親は、
「行きなさい」と答えるのだった
今、子供が学校を辞めてタイにキックボクシングをやりに行きたいと
言って賛成する親がいるだろうかと考えた
タイに行き最初はいじめられるものの、彼には「象と話せる」という
特技があった 事実、象は人間の聞こえない低周波で、遠くにいる仲間に
危険を伝えたりする能力があるらしい
川で溺れかけたとき象に助けられ、象との友情が芽生え
その頃から仲間たちとも、うまくやっていけるようになる
タイのチェンマイ北部、かつて試合で死んでしまったボクサーの
お葬式に行ったことがある 今はもう25年も前のことだ
日本に帰ってきた彼は、日本初の象使いとして活躍を始める
初の象のショーで彼は、言う
「人に伝える事は難しく自分は、なかなか心を伝えられない
動物は言葉を話さないけれど、皆で助け合い協力をして生きている
その事をこのショーを通じてみなさんに分かってもらいたい」
子供の気持ちを理解できなかった両親はこの言葉を聞いて反省する
「この子は本当に象のことが好きなんだ」
彼は日本国中の手に余った象を引き取り最後まで面倒を見ることに・・・
夢は日本に象たちが安心して暮らせる象の自然王国を作ることであった

しかし、夢の途中、交通事故によって儚くも命を落としてしまう
息子を失った時、あれほど象を愛した息子の真実を知り母は泣き叫ぶ

物語の舞台になった千葉の市原ぞう王国に子供たちをつれて
行ったのは、もう何年前であろう
家族で遠くに出かけたのは、それが最後だったかも知れない

たしか、象に逢えると子供たちは、はしゃいでいた
辛いだけのタイ料理を食べて、象のショーを観た
楽しみにしていた象よりも余り、しゃべらない両親の事に
心を痛めていたのではなかったかと、今になって思えるようになった

象の鼻に持ち上げられて泣きそうになっていた娘は
一児の母となり、本物の大きさに怖いと泣いていた弱い息子は
魔裟斗を倒すと言って毎日ハードトレーニングを繰り返している

事実は映画よりもっと悲しく可笑しいものだと思い知った

                2月7日