今回5回目を迎える松栄カップ 練習試合が28日 松栄塾本部道場で開催されました。
松栄塾 拳成館 野地道場 破天荒塾4団体 60名の選手が新たなる「気づき」を得るため
元気に試合を行いました。
もとより結果を優先する公式の試合と違い組手の中から
何かを学んで一歩成長することが、一番大事な行事なので変則的なトーナメントでは
ありましたが、公式の試合を越えるような熱戦が展開しました。
練習試合も今回5回目を迎え、この日を目指してライバル達に肉薄するため稽古を
積んできたことがハッキリと現れる練習試合でした。
各部門のハイライトを御紹介しますと、始めに行われました「型」の試合は
初級(太極1)中級(平安1)上級(自由型)に別れ自由参加、団体で行った
後、決勝進出者を決める試合形式を取らせていただきました。
特筆するのは破天荒塾の皆様がとても型のレベルが高く5名参加のうち、
ほとんどの選手が決勝に進出し上位を独占致しました。
年中の部では4名が参加 初出場の益戸有大(松栄塾)と吉田郁穂(拳成館)が
決勝に進出 体力の優れる益戸選手の優勝となりました
年中さんはまだ4歳という小さな身体を一生懸命動かしての組手に御父兄からの声援が
止まりませんでした。
年長の部では6名が参加 マス大山メモリアルカップ決勝の再選となるかと思われましたが
とんでもない伏兵、初出場の高治李琉斗(拳成館)が前回、優勝の鈴木将心(松栄塾)を破り
破天荒塾の池上祐空選手も破って決勝に進出、メモリアルカップ優勝の金澤愛香(破天荒塾)
と戦いました、メモリアルカップ以降、自信を付けた金澤選手が高治選手を破り優勝致しました。
続く一年生の部ではこれまた驚異の新人 拳成館の巻田海生選手が一年生の強豪 菊地悠生選手(松栄塾)
を開始わずか1秒の跳び前蹴りで破り同門 岡江颯太選手と対戦 巻田選手の初出場初優勝となりました。
最大9名が参加した二年生の部でも佐藤 環(拳成館)と小林拓斗(拳成館)の同門対決
高速の上段回し蹴りや後ろ回し蹴りを駆使して戦う二人の組手は模範となるような素敵な対決でありました。
3年生では連盟において怪童と称され、このところ公式戦負けなしの大澤あねら(松栄塾)とメモリアルカップで
決勝戦を戦った吉田侑奈(拳成館)が一回戦で激突、リベンジを胸に食い下がりましたが惜しくも借敗しました。
拳成館 黒澤館長は「郁奈はあねらちゃんを倒すために人一倍稽古を積んできた、同時代に技を競えあえるライバルが
いることはとても大切な事」と二人の健闘を称えておりました。
続く堀川飛空(松栄塾)との二回戦では、開始早々隙を突かれた前蹴りで技有りを奪われるもの、落ち着いて技を返し
決勝に進出、一回戦で松栄塾の怪物くん濱本琉陽選手を破った渡邊理央選手と戦いましたが、回転の早い蹴り技と
ダブルで襲いかかる前蹴り 横蹴りを駆使して大澤あねら選手の優勝となりました。
4年生の部では久しぶりの強豪 西村匡生(松栄塾)が参戦、今まで強すぎて5年6年の部にエントリーしておりましたが
今回は4年の部に復活、一回戦、最近、組手で自信を付けてきている少善祐人(松栄塾)を華麗な蹴り技で破った
深澤フランシ(拳成館)と対戦、回転の速い突き技と胴回し回転蹴りで技有りを取り決勝に進出、東京カルチャーセンター
から移籍してきた高橋直人(松栄塾)を破り優勝を飾りました。
特に今回、特筆するべき出来事は12月に開催される「野地祭り」に出場する5年生を見聞する5年トーナメントでした。
優勝候補は何と言っても並外れた体格を持つ竹内優真(拳成館)大人と変わらぬ体格はプロ興業にぴったりであります。
先日、行われた松栄塾昇級審査で5人組手を完勝した柳川湧我(松栄塾)と戦った一回戦では、柳川選手の早い蹴りを裁いて
強烈な下段蹴りで圧勝、破天荒塾の金澤選手を破った高橋澪羅(拳成館)をも打ち負かし決勝に進出しました。
反対のブロックから上がってきたのは内山力太(松栄塾)前回4回目の松栄カップに参加された人は覚えていると思いますが
内山選手は中段回し蹴りをまともにもらって悶絶、空気が凍てつく衝撃的なKO負けを喫しました。
しばらく立ち上がることもできませんでしたが、たまたま参加してくださった御父兄に消防関係の緊急隊の方が
いてくださり、「大事には至っていないでしょう」とのことで、ご両親に連絡をしました。
その夜、彼のことが心配で内山宅を訪問 結局1時間探し回るも見つけることができず、電話で話をしようと
連絡するも留守電になってしまいました。
その夜は彼のことが気になり一晩中、彼の身を案じ無事を想い祈りました。
翌日、ケロッとした顔で元気に稽古に来てくれて「大丈夫か」と聞くと笑いながら「押忍」と
返事をしていましたが「悔しかったか」と聞くと少し涙を浮かべて、また更に強く「押忍」と答えてくれました。
「どんなに辛くても強くなるしかないんだよ」「悔しかったら強くなれ」と言いましたら、また「押忍」と答えて
いました。「この世に強い人なんかいないんだ、いるのは強くあろうとする人とそうじゃない人だけなんだ」と
彼の大きな瞳に言いました。
人が強くなろうとするときに「言葉は何の役にも立たない」事は自分が一番知っていますが
少なくても彼は「心まで折れていない」事が分かり少し安心もしました。
あれから二ヶ月、彼はあの時の「押忍」を誰よりも胸に掲げて稽古をしてきました。
決勝戦では巨体から繰り出される強烈な突きと下段蹴りを耐えながら奇跡的な上段回し蹴りを決めて
優勝 いい年した親父(自分)は、少し泣いてしまいました。
6年生では前回も優勝した大澤雄空(松栄塾)が圧倒的な強さで優勝
小学生最高のテクニシャン丸尾一真(松栄塾)との戦いを楽しみにしておりましたが、
練習不足のため丸尾選手が棄権 次の戦いに期待したいと思います。
女性が少なくワンマッチで行った4年生女子の部は鹿野有利(松栄塾)と池上未莉亜(拳成館)が
対戦、小さい身体を駆使しながら最後まで諦めなかった鹿野選手が優勝致しました。
女子の部では中高生を含む4名が参戦 一回戦はクリスティーナ・アポストル(野地道場)と
最強の主婦 今北美樹(拳成館)が対戦、背がたかくパワー溢れるクリスティーナ選手が
中段蹴りと突きを集めて決勝に進出 永村セリナ(拳成館)と対戦するも安定した強さで
第3回の時以来 連続優勝をされました。
最後に行った中学の部では大澤海雄(松栄塾)が久しぶりの復活 夏の昇段審査で黒帯を
取り毎週水曜日の中級クラスでは指導も担当しております。
一回戦で拳成館の古参にして常連 五島寛人(拳成館)と対戦致しました。
本戦互角 延長戦では長い足を駆使しての蹴り技が顔面をかすり
優勢勝ちをするも審判団から再戦を臨まれ、ここでスタミナ切れが露出
最後は逆転負けを喫してしまいました。
様々な異論があるでしょうが、このイベントの目的は一人一人の「気づき」です
勝ち負けを超越して「今、自分に何が足りないのか」「自分が成長するためには
何が足りないか」を気づく為の試合であると位置づけております。
保護者の皆様方には疑問視される方もいらっしゃるとは思いますが
その点のご留意の上、御参戦を御願い致します。
前回、優勝して今回一回戦で敗れた者も前回KO負けして今回優勝した者も
すべての物語に原因と結果があります。
全日本武術総合空手道連盟の目的は青少年の「魂の設計」です。
負けて勝つという不倒不屈の精神です。
その為に避けて通れない「痛み」「悔しさ」「気づき」という点をご理解いただきたいと思います。
気づきとは「自分の両親に対する感謝の思い」であったり
「自分の稽古に対する姿勢」など人それぞれであると思います。
松栄塾が開催する練習試合 松栄カップはイメージの底辺に
「剣豪の修行」があります。
かつて諸国を歩き修行を重ねた剣豪達は強い道場に立ち寄っては
腕を磨き切磋琢磨をしたと聞き及んでおります。
ややもすると馴れ合いと惰性になってしまう稽古の質を変えていくこと
松栄塾カップの目的と理念があります。
そう言う意味で野地道場の野地竜太先生や破天荒塾の金澤久幸先生の
テクニック講座、ワンポイントレッスンは日頃、触れ合えない世界を
相手に戦い続けた戦士との大切な技術講習でした。
大会当初、お話しさせていただきましたが、その「空気」に触れる
ただ、それだけで子供は変わると5回の試合を通して確信しております。
その上で今後の連盟活動などを更に推進して参る決意であります。
最後になりましたが今大会、高価なトロフィーを贈呈いただいた
拳成館 黒澤館長 多くの記念になるメダルをいただき最高の奥義
を披露して戴いた破天荒塾 金澤先生 試合が近いにも関わらず
フルコンタクトの秘技を教えてくださった野地道場の野地先生
大変にお世話になりました そして最後まで小さな戦士達を
応援してくださった御父兄の皆様 ありがとうございました
重松これからも頑張って参りますので宜しくお願い致します 押忍